購買管理システムとはどのような役割をもったシステムなのでしょうか。この記事では購買管理システムの仕組みや役割、導入するメリットなどについて解説します。
業務用システムの一種として知られている購買管理システムですが、JIS (日本規格協会)では、購買管理について以下のように定義しています。
「生産活動に当たって、外部から適正な品質の資材を必要量だけ、必要な時期までに経済的に調達するための手段の体系。」
つまり購買管理とは、生産を計画してから要求した原材料や部品などを、期日までに要求した通りの価格で仕入れ先から調達する一連の流れを指しています。
JISではさらに購買管理を細かく分類しており、内外製区分にはじまり、購買計画、仕入先開拓と選定、取引契約、発注管理、価格管理、原価低減活動、納期管理、品質管理、検収支払管理、仕入先管理、リスク管理、購買業務規定の整備が含まれています。
なお、企業によってカバーしている業務は異なるため、購買管理の業務内容は必ずしも上記の過程すべてが当てはまるというわけではありません。
主に資材などの購買を効率よく行うために使用されている購買管理システム。同システムは帳票作成だけでなく、購買業務に関係する支払締めや振込依頼書など、面倒な書類作成業務を効率的に行えるのが便利なポイントです。
購買管理システムの導入は発注業務のコスト削減にダイレクトに繋がります。システムには複雑な発注業務を一元化する機能があるので、非効率的な業務を省略可能。業務時間を削減できれば、それだけコストも減らせます。
また、データを一元管理することで、簡単に過去の実績や現在の取引状況を調べられます。仕入れ先との交渉をよりスムーズに進められるでしょう
購買管理システムを導入するさらなるメリットとして、発注ミスや不正を防げることが挙げられます。資材や在庫の正確な数を把握する機能が搭載されており、在庫切れや過剰発注を防ぐ一助となります。
購買管理システムには、様々な機能が搭載されています。一般的にどのような機能があるのか見ていきましょう。
製品を生産する計画に合わせて、どのような材料が必要になり、どの部品をどこの企業から、いつまでに、どれくらいの価格で購入するのかを決める必要があります。これらのことを購買計画と呼び、購買管理システムを導入することで、購買計画を可視化することができ分かりやすくなるでしょう。またシステム上で一貫管理できることで、製品の生産計画にミスが少なくなり、適切な材料・部品が発注されているかチェックしやすくなります。
材料・部品によって、仕入れ先は異なるでしょう。それぞれの仕入れ先ごとに、いつ・どれくらいの数・価格などの過去の情報を把握しておく必要があります。また今後の購買予定などの情報も管理しなければなりません。仕入れ管理機能があれば適切な仕入れ情報を把握しやすくなり、コストの最適化を図ることができるでしょう。また購買管理システムの中には最低価格を比較し、購入先を提案してくれる機能が搭載されていることも。
材料・部品を購入する際、取引契約を交わすはずです。日時やどのような取引を行ったかの詳細が契約書には記載されており、何らかの取引を行う際は必ず必要になってきます。取引契約機能とは、この契約に関する内容を電子化し、購買管理システムで管理できる仕組みのことです。過去の取引に関しても管理でき、いつでも閲覧できます。そのため取引契約を交わす際に過去の情報をチェックでき、ミスを予防できるでしょう。
基本的に発注先が複数あるケースが多く、発注している材料や部品は個数などが注文の度に異なるでしょう。発注管理機能とは仕入れ先に発注した情報を管理できる機能で、自社に配送された商品の種類や個数にミスがないかチェックしやすくなります。
部品や材料を仕入れする価格は、企業を経営するにあたって重要な要素になるでしょう。そのため商品を仕入れる際には、適正な価格なのかチェックしなければなりません。価格管理機能を活用することで、過去の取引の価格が分かりやすくなり、次回仕入れの時の参考になるでしょう。
部品や材料を仕入れる際に、どの程度の期間を要するのかは業務をスムーズに図るために重要になってきます。納期管理機能であれば発注した物が指定した納期に間に合うのかどうかなどの情報が分かりやすくなるでしょう。また納期に遅れそうな場合でも、すぐに把握しやすいため工程の延期や代替案なども提案しやすくなります。
指定した品質よりも劣っていれば、製造に影響をきたしてしまいます。品質管理機能とは指定した品質で納品されるかを管理するもので、品質が劣っている際に状態や個数を把握し、今後の生産工程を調整しやすくなるでしょう。また仕入れ先もチェックできるため、次回から別の仕入れ先に変更することも可能です。
納品された材料・部品の検収から支払いまでを管理する機能です。納品された後は、基本的に期日までに支払う必要があり、この検収支払管理機能を利用することで、案件に合った状況が管理しやすくなります。
外部のカタログサイトとネットワークでつながり、複数あるECサイトの商品を一つのプラットフォームから購入できる機能です。この機能がなければ購入する際にECサイトと購買管理システムを別々に操作しなければならず、余計な業務負担が増えてしまうでしょう。またカタログをメンテナンスする負担もかかってしまいます。外部カタログサイトとの連携機能を活用し、よりスムーズに業務が行いやすくなるでしょう。また複数のECサイトから最安値をみつける、カタログ横断検索機能が搭載されたシステムもあります。
企業を運営するにあたって、様々なデータを分析し、今後の業務に活かすことは大切です。データ分析機能を活用すれば、取引先ごとの見積もり回答・調達のリードタイムの分析・コストダウンの実績・希望納期の遵守の評価などを作成することが可能です。その分析結果から取引先の選定などに役立つでしょう。
購買管理システムは単体で導入されるケースが少なく、ERPの一部として導入されるケースが一般的です。ERPでなくても生産管理スイートとして導入されたり、在庫管理システムなどと包括的に導入されたりするエースも多く見られます。購買管理システムは各業務アプリケーションと連携させて、労務面のサポートを行うことも目的とされていからです。
購買管理システムを正しく運用するためには、まず導入目的や方針を明確にし、現状の問題点を把握することが欠かせません。課題を把握した上で改善策を立案し、実際に問題解決に臨みます。購買管理を活用して具体的な数値を基に情報を分析するためには、基本ルールを利用者全員が確認しておくことが大切です。
購買管理システムは導入さえすれば良いというものではなく、PDCAサイクルを回し続けることで効果が発揮されていきます。正しいう運用方法で徐々になじませていくことを心がけましょう。
他部門と連携をとり業務を効率良く行う上で欠かせない購買管理システム。複雑な業務の省略やデータの一元管理、発注ミスや不正の予防など、導入することがで得られるメリットがたくさんあります。運用方法も難しいものではないので、企業に合った購買管理システムを取り入れてスムーズに業務をこなせるようにしていきましょう。
購買管理システムを選ぶうえで、まずおさえておきたいのが導入実績・事例です。ここではネット上に出回っているあらゆる購買管理システムを調査し、導入実例や社名ありの事例を公式HPに記載しているメーカーの製品をピックアップ。導入費用・実績・パンチアウト接続(サプライヤサイトに直接アクセスできる)で比較してみました。(2021年5月調査時点)
▼左右にスクロールできます▼
商品名 | 導入費用 (※独自調査による参考値) |
導入実績・企業例 | パンチアウト接続が 可能なサプライヤ |
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SOLOEL | Lightは200万円~ Enterpriseは 1,000万円~ |
600社以上 大阪ガス、オムロン、カネカ、カシオ、神戸市、大京、大成建設、野村ホールディングスなど |
34社 ASKUL、アズワン、Amazon Business、大塚商会、紀伊国屋書店、キングコーポレーション、コクヨ、チップワンストップ、DELL、東京硝子器械、トラスコ中山、ビックカメラ、ミスミ、ミドリ安全、MonotaROなど |
coupa | 1,000万円~ | 2,000社以上 三菱重工など |
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SAP Ariba | 3,000万円程度 | ※社数の記載はなし 横浜ゴム、日東電工など |
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