消費税法改定が新たな要求を生み出し、税制度の複雑性を増す中で、購買部門は新たな課題に立ち向かう必要があります。本記事では、インボイス制度が購買管理システムに与える影響について詳しく解説します。
過去の税制では、取引が消費税課税に該当するならば、買い手である企業が、売り手が課税事業者でも免税事業者でも、消費税を含む請求書を仕入税額控除の対象とすることが可能でした。しかし、2019年の消費税法改定により、税率が単一から複数税率へと移行しました。
改定後の新制度では、軽減税率対象の商品やサービスに関しての売上や仕入れ等を分けて請求書を発行したり、帳簿に記載したりする「区分経理」が要求されています。これにより、仕入税額控除を適用するためには、区分経理を適切に実施し、その上で関連する帳簿や請求書を保存することが必須となりました。
このように消費税法の改定は、企業に新たな要件を追加したわけですが、同時にそれは、全ての企業が消費税控除を受けるために、新たな要件に応えるしかないという現状を生み出しました。その結果、現在ではどの企業も、改定によって新たに設けられた「区分記載請求書等」のルールに沿った請求書を発行しているのです。
インボイス制度は、一般的な請求書とは異なり、特定の条件に合致した「適格請求書」や「適格簡易請求書」、「仕入明細書」等のみが仕入税額控除の対象とされることを意味しています。
しかしインボイスの発行には特定の要件が存在します。それが適格請求書発行事業者の登録です。この登録をしていない事業者が適格請求書を発行したとしても、仕入れ先の企業は仕入税額控除を受けることができません。
インボイスが提供されない場合、その仕入れ先との取引についてどのように対処するかを判断する必要があります。もしインボイスが提供されない場合、コストが10%アップします。具体的には、最初の3年間は2%アップで、その後の3年間は5%アップする経過措置が適用されます。
本質的には消費税に関連するコストでもあるため、これを経理部門や経営管理部門のコストと区別して考えると、購買および仕入部門には無関係となることがあります。インボイスの提供が受けられない仕入先との取引に関しては、コスト増加に対する担当部門や責任を事前に明確にする必要があります。
インボイスの提供が受けられない仕入先との取引を原則禁止とした場合でも、予期せず発生するケースが存在します。たとえば、個人タクシーや接待の2次会などで偶然にも免税事業者である飲食店を利用する場合などが挙げられます。金額的には影響が限定的である可能性もありますが、この点については事前に議論しておくことが望ましいでしょう。
業務フローの見直しも必要です。請求書を受け取った場合、それがインボイスであるかどうかを判断し、情報を入力して帳簿の記録要件を満たし、会計および税務申告のためのフラグを設定する新しい業務が発生します。どの種類のフラグが必要かは、経理部門と調整が必要です。
さらに、請求書が存在しない取引も多くあります。例えば、納品書と請求書の組み合わせや、契約書と口座引き落としの記録などがインボイスとして扱われる可能性があります。これまで管理や保存が求められていなかった情報も、インボイスとして証憑管理する必要がある場合があります。
インボイス制度の影響を理解することは、税務コンプライアンスを確保し、コスト効率を向上させるために重要です。企業はこの変化に迅速に対応し、適切なソリューションを導入することが求められます。
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