在庫量を一定に保ちたい場合に向いている定量発注方式は、常に常備しておきたい商品などの在庫管理に活用されます。ここでは定量発注方式のメリット・デメリット、計算方法などを紹介するので、定量発注方式を検討中の方は参考にしてください。
定量発注方式とは商品の在庫が一定まで減った場合、あらかじめ定めた量を発注する仕組みのことです。発注が必要となる在庫の量を発注点、あらかじめ定めた発注の量のことを発注量と呼びます。常に常備しておかなければならない物品など、在庫量を一定に保ちたい商品におすすめできる方法です。
よく間違えやすいのが定期発注方式と呼ばれるもので、定量発注方式とは全く異なります。定期発注方式とは発注の時期を定めており、1週間に1度、1か月に1度など定期的な発注を行うものです。在庫や需要によって発注量を調整でき、単価も高いメインの商品に用いるのが一般的でしょう。
定量発注方式の大きなメリットが、発注業務の手間を省けるという点です。事前に発注点・発注量さえ決めておけば、手間のかかる業務は一切なく、効率的に必要な在庫を管理することができるでしょう。たとえば製品の売上高を分けるために「ABC分析」というやり方が一般的です。製品を売り上げの高いメインの製品をAグループ、重要度が決して高くない製品をBグループ、最も必要のない製品をCグループに分類します。主力製品であるAグループは発注量や期間など徹底した管理が必要となりますが、BグループやCグループでは手間をかけずに業務の負担を減らすのが良いでしょう。そのため定量発注方式は、Bグループ以下にぴったりの方法となり、発注時期や発注量の自動化を実現することで、事務処理の効率化へとつながるのです。
ただ常に同じ量だけを発注するというやり方なので、もし需要の変化があれば対応しにくいというデメリットがあります。季節によって需要が変化するケースや社会事情によって急激に需要がアップ、ダウンすれば、在庫切れ・過剰在庫となることもあるでしょう。そう言ったリスクがあるからこそ、重要度が決して高くないBグループ以下に活用するのが理想的だと言えます。
定量発注方式を導入した結果、在庫切れが頻繁に起こるような状況があれば在庫数のチェック回数を増やしたうえで、発注点・発注量を見直すことが重要です。早めに見直しを行うことで、デメリットも感じにくくなるでしょう。
定量発注方式を活用するのであれば、発注点・発注量を見極めることが大切です。正しい算出方法を知らなければ、適切に活用することができないでしょう。定量発注方式を活用する場合には、発注点・安全在庫・経済的発注量を応用し算出する必要があります。ここでは具体的な算出方法についてチェックしていきましょう。
発注点=納入リードタイム×1日あたりの販売量(使用料)+安全在庫量
上記のような方法で算出されます。発注点として算出した値に対し、在庫数が至れば発注をかけるようにしましょう。
安全在庫数=安全係数×需要数の標準偏差×√(納入リードタイム+発注間隔)
上記の計算式で算出されます。安全係数とは製品の使用・販売が100回発生した場合、どの程度欠品するかどうかを表した数値です。たとえば100回中に1回欠品が生じるような状況であれば安全係数は2.33となり、5回生じる場合には安全係数は1.65となります。需要数の標準偏差とは製品の過去の需要数や出荷数から求めるため、エクセルのSTDEV関数を活用して求める方法が良いでしょう。
最後に経済的発注量を算出していきます。経済的発注量は一定期間に発注費用と在庫費用のトータルが最も少なくなる発注量のことです。そのため定量発注方式では、発注点に至ったときに発注しなければならない数量とも言えます。
経済的発注量=経済発注量=√{(2×1回あたりの発注費用×年間需要量)÷(在庫品の単価×在庫費用率)
上記の計算式で算出されます。在庫費用率とは在庫費用のなかで保管費用が占める割合を表す数値です。
在庫管理は企業を運営するにあたって、非常に重要な業務です。ただ在庫管理や発注管理に手間がかかってしまえば、本来の業務に支障をきたす可能性があるため効率化を図ることも重要になってくるでしょう。そのため効率化を少しでも図りたいと思っているのであれば、購買管理システムの導入を検討するのも一つの手です。
購買管理システムを導入すれば発注漏れなどの人的ミスを最小限にし、業務の属人化やブラックボックス化の解消にもつながるでしょう。さらにクラウド型であれば場所に縛られることなく在庫量をチェックでき、リアルタイムに発注業務などを行うことも可能です。とくに在庫量をタイムリーに把握しなければならない定量発注方式において、業務の大幅な効率化が図れるなどのメリットがあります。
そういったメリットを踏まえれば、定量発注方式を活用する際は購買システムを導入した方が業務をスムーズに行えるでしょう。様々な購買システムがあるため、しっかりと特徴やサービスを比較したうえで、どのシステムを導入するのか検討してください。
購買管理システムを選ぶうえで、まずおさえておきたいのが導入実績・事例です。ここではネット上に出回っているあらゆる購買管理システムを調査し、導入実例や社名ありの事例を公式HPに記載しているメーカーの製品をピックアップ。導入費用・実績・パンチアウト接続(サプライヤサイトに直接アクセスできる)で比較してみました。(2021年5月調査時点)
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商品名 | 導入費用 (※独自調査による参考値) |
導入実績・企業例 | パンチアウト接続が 可能なサプライヤ |
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SOLOEL | Lightは200万円~ Enterpriseは 1,000万円~ |
600社以上 大阪ガス、オムロン、カネカ、カシオ、神戸市、大京、大成建設、野村ホールディングスなど |
34社 ASKUL、アズワン、Amazon Business、大塚商会、紀伊国屋書店、キングコーポレーション、コクヨ、チップワンストップ、DELL、東京硝子器械、トラスコ中山、ビックカメラ、ミスミ、ミドリ安全、MonotaROなど |
coupa | 1,000万円~ | 2,000社以上 三菱重工など |
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SAP Ariba | 3,000万円程度 | ※社数の記載はなし 横浜ゴム、日東電工など |
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